記事一覧
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小説
宵闇の魔法使いと薄明の王女 4−5
「マリア?」 まさかの助っ人に虚を突かれたジルファリアが目を丸くした。視線の先で彼女は足元に転がった少年に向かってごめんなさいと何度も呟いている。そしてこちらの視線に気がつくと、木の棒をぎゅっと握り直した。「わ、わたしも戦うわ」 しか... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 4−4
どうやら窓の割れた部分から声が漏れてきたようだ。ジルファリアは息を殺し窓へと近づく。 そっと中の様子を窺うと、仁王立ちになっているダンと、その正面には後ろ手に縛られ座り込んでいるマリスディアの姿が見えた。「そんな目で見ても無駄だ。もう... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 4−3
+++ 「あ、ここ。ここだぞサツキ」 ジルファリアが囁く。 難なく職人街の奥まった裏通りを抜けてきた二人の目の前には、オンボロな三階建の時計塔が建っていた。と言っても機械部分はとうに壊れており、時計の役割は果たしていないのだが。やや傾き... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 4−2
ジルファリアははやる気持ちで走り続けた。 郊外から学生街に入ると、石造りの静かな小道に出る。この辺りは森の中にアカデミーがあるせいか木々が多く、道の両脇にも高木から低木と様々な樹木が生い茂っていた。時折、落ち葉の油で滑ってしまい、足を... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 4−1
四章;夕刻の追走劇 +++ __……ぃ、……。……ぉい……、……! 遠くのほうから切羽詰まったような声が聞こえているような気がする。 意識を戻そうと試みたが、なかなか思い通りにはいかなかった。 (いてー……) 身体が揺り動かされているのか、その振... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 3−4
「そういやさ、お前はなんでこんないかにも怪しい馬車に連れて来られたんだ?」 ジルファリアが思い出したように尋ねる。 貴族の令嬢が護衛も付けずに一人で屋敷の外へ出てきたことがずっと引っかかっていたのだ。 そんな問いかけに笑顔から一転しマ... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 3−3
十数日ぶりに辿り着いたバスターの屋敷はやはり大きかった。(なんでこう無駄にデケェんだろ) 辿り着いた早々うんざりした表情になり、マリスディアと出会った背の高い木のところまで歩こうと足を踏み出した。 確かこの先に裏の勝手口があるって言っ... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 3−2
「お、おっちゃん……」 つい先日のこととこれから行こうとしている場所が頭を過り、ジルファリアの顔が引き攣った。「ん?ジル、サツキはどうした?」 そんなジルファリアの様子にも気づかず、ラバードは首を傾げながら辺りを見回す。「い、いや……、そ... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 3−1
三章;昼下がりの侵入者 +++ 「むー、ヒマだ。すごくヒマだぞ、サツキー」 カウンターに突っ伏しながらジルファリアがぼやいた。腰掛けををガッタンガッタンと鳴らしては足を忙しなく揺らす。 昼食を終えた昼下がり。今日も今日とてアドレから店... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 2−5
「はぁ〜、食った食ったぁ」 どかりと軒先の椅子に腰掛けたラバードは満足そうに腹をさすった。「おっちゃんの地獄スープ、ほんとに不味かったなぁ」 その隣の椅子に腰掛けていたジルファリアがぼやいた。「こら、ジル。作ってもらった食事に不味いな...