サイラスはそこに立っていた。
夕闇に溶ける街並みを眺めながら、手元に握りしめた黄金の羽根を眺めていた。
虚ろに光を失っているが、それでも美しい宝石のような瞳に羽根が揺らめいて映る。
まさか、こんなに巧く行くとは思っていなかった。
これは、自分にとっては“希望の光”なのだ。
きっと願いが叶うに違いない。
これで自分の“あるべき場所”に還ることができる。
その為の一歩なのだ。
忌まわしい連鎖を断ち切るためにも。
自分は絶対に成し遂げるのだ。
__たとえ、元の姿に戻れなかったとしても。
◇◇ 一巻 完 ◇◇
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