2024年7月– date –
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小説
薄明の王女と宵闇の魔法使い 一巻 幕間
サイラスはそこに立っていた。 夕闇に溶ける街並みを眺めながら、手元に握りしめた黄金の羽根を眺めていた。 虚ろに光を失っているが、それでも美しい宝石のような瞳に羽根が揺らめいて映る。 まさか、こんなに巧く行くとは思っていなかった。 こ... -
小説
薄明の王女と宵闇の魔法使い 7−6
+++ もう何日そうしていただろう。 自室の寝床の上で、ジルファリアは膝を抱えた状態でずっと座っていた。 何度夜が来て朝が来ても、その表情が晴れることはなかった。 感情も何もかも捨ててしまったように、ぼんやりとした顔でずっとこうして... -
小説
宵闇の魔法使いと薄明の王女 7−5
+++ 一言で言えば、そこは“黒”だった。 一面すべてが真っ黒で、そして禍々しい空気を漂わせていた。 あの美しく居心地が良かった中庭は、もう影も形もなかった。 田園風景を思わせてくれていた野花や野草、彼女が一生懸命並べたのであろう煉瓦で...
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