2024年5月– date –
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小説
宵闇の魔法使いと薄明の王女 7−2
どこをどう走っているのか、自分でも分からない。 ジルファリアはただ足を前へ前へと走らせた。 色々な思考と感情が混ざり合い、自分でもどうしたらいいのか分からなかった。 (母ちゃんの分からずや!なんでオレの気持ちを分かってくれねぇんだ) ... -
小説
宵闇の魔法使いと薄明の王女 7−1
七章;鈍色空と忘れ草 冷たい風が頬を撫で、ジルファリアはぶるりと身を震わせた。「前より明らか寒い日が増えてきたな」 そう言いつつも、けろりとした表情のサツキが片手を掲げる。木枯らしに吹かれて舞い上がった落ち葉を掴もうとしているようだ。「... -
小説
宵闇の魔法使いと薄明の王女 6−4
「そうだ!オレさ、これお前に返そうと思って持って来たんだ」 そう言うと、ジルファリアは自分のうなじに両手を回した。ぱちんと金具を外すと彼女に差し出す。「呼び声の雫」 マリスディアの言葉に頷くと、ジルファリアはそれを彼女の目の前に掲げた...
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