2024年1月– date –
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小説
宵闇の魔法使いと薄明の王女 4−5
「マリア?」 まさかの助っ人に虚を突かれたジルファリアが目を丸くした。視線の先で彼女は足元に転がった少年に向かってごめんなさいと何度も呟いている。そしてこちらの視線に気がつくと、木の棒をぎゅっと握り直した。「わ、わたしも戦うわ」 しか... -
小説
宵闇の魔法使いと薄明の王女 4−4
どうやら窓の割れた部分から声が漏れてきたようだ。ジルファリアは息を殺し窓へと近づく。 そっと中の様子を窺うと、仁王立ちになっているダンと、その正面には後ろ手に縛られ座り込んでいるマリスディアの姿が見えた。「そんな目で見ても無駄だ。もう... -
小説
宵闇の魔法使いと薄明の王女 4−3
+++ 「あ、ここ。ここだぞサツキ」 ジルファリアが囁く。 難なく職人街の奥まった裏通りを抜けてきた二人の目の前には、オンボロな三階建の時計塔が建っていた。と言っても機械部分はとうに壊れており、時計の役割は果たしていないのだが。やや傾き...
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