2023年– date –
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小説
宵闇の魔法使いと薄明の王女 4−2
ジルファリアははやる気持ちで走り続けた。 郊外から学生街に入ると、石造りの静かな小道に出る。この辺りは森の中にアカデミーがあるせいか木々が多く、道の両脇にも高木から低木と様々な樹木が生い茂っていた。時折、落ち葉の油で滑ってしまい、足を... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 4−1
四章;夕刻の追走劇 +++ __……ぃ、……。……ぉい……、……! 遠くのほうから切羽詰まったような声が聞こえているような気がする。 意識を戻そうと試みたが、なかなか思い通りにはいかなかった。 (いてー……) 身体が揺り動かされているのか、その振... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 3−4
「そういやさ、お前はなんでこんないかにも怪しい馬車に連れて来られたんだ?」 ジルファリアが思い出したように尋ねる。 貴族の令嬢が護衛も付けずに一人で屋敷の外へ出てきたことがずっと引っかかっていたのだ。 そんな問いかけに笑顔から一転しマ... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 3−3
十数日ぶりに辿り着いたバスターの屋敷はやはり大きかった。(なんでこう無駄にデケェんだろ) 辿り着いた早々うんざりした表情になり、マリスディアと出会った背の高い木のところまで歩こうと足を踏み出した。 確かこの先に裏の勝手口があるって言っ... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 3−2
「お、おっちゃん……」 つい先日のこととこれから行こうとしている場所が頭を過り、ジルファリアの顔が引き攣った。「ん?ジル、サツキはどうした?」 そんなジルファリアの様子にも気づかず、ラバードは首を傾げながら辺りを見回す。「い、いや……、そ... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 3−1
三章;昼下がりの侵入者 +++ 「むー、ヒマだ。すごくヒマだぞ、サツキー」 カウンターに突っ伏しながらジルファリアがぼやいた。腰掛けををガッタンガッタンと鳴らしては足を忙しなく揺らす。 昼食を終えた昼下がり。今日も今日とてアドレから店... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 2−5
「はぁ〜、食った食ったぁ」 どかりと軒先の椅子に腰掛けたラバードは満足そうに腹をさすった。「おっちゃんの地獄スープ、ほんとに不味かったなぁ」 その隣の椅子に腰掛けていたジルファリアがぼやいた。「こら、ジル。作ってもらった食事に不味いな... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 2−4
+++ 「いたか?」「いや、こっちには居なかった!」「あちらを探せ!」 物々しい雰囲気で衛兵たちが目の前を横切っていく。屋敷の見張り兵だろうか、高級な作りの兵服に身を包んだ数人が足早に駆けていた。手には長い槍を持っている。 あんなもの... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 2−3
「そういえば、マリスディアはここまでどうやって登ってきたんだ?」「え?」「だってどう見ても、大人三人分くらいの高さがあるだろ?梯子もなさそうだし、どうやってここまで来たのかなって」「あ……、その」「あ!そうか、召使いみたいなのがここまで... -
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宵闇の魔法使いと薄明の王女 2−2
「おーい!」 気がつけばジルファリアは声を上げて彼女に手を振っていた。「そこで何してんだー?」 そこまで叫んではたと口を塞ぐ。このような閑静な場所だと、自分の声が思った以上に響き渡っていることに気が付いたのだ。「これじゃ不審者じゃん」...